翻訳者になる方法

小さい頃からの夢は、翻訳者になることでした。叶えたい夢はあるのに、どうやったらそれを叶えられるのか分かりませんでした。その私が今、翻訳者として仕事をしています。翻訳者になりたいと思う人にお役に立てればと思い、私の翻訳者になるまでの道のりをご紹介します。


小さい頃

小学校に入る前から、テレビでセサミストリートを見るのが大好きでした。母親がカーペンターズやビートルズなどの洋楽や、ハリウッド映画が好きで、一緒に聞いたり、見たりしていました。日本語とは違う言葉だなと、子供ながらに感じたことを覚えています。視覚情報と合わさって、言っていることが理解できたとき、嬉しかった。これが私が英語に興味を持つようになったきっかけです。


中学校

中学校に入って、英語の授業がはじまりました。英語の先生や、授業はあまり好きではありませんでしたが、パラオに行ったという先生の話を興味深く聞きました。通っていた塾の塾長が英語を教えるのがかなり上手だったので、私の英語力は格段に伸びました。


高校

高校を選ぶ際には、家から近いところに、英語科がある高校があったので、そこを受験し合格し通いました。英語科は普通科に比べて英語の授業が多かったので、科目で英語が一番好きだった私にはぴったりでした。この学科に入学してから、英語漬けで、英語が嫌いになった同級生もいた一方で、私はどんどん英語にのめり込んでいきました。ATLが2人(男女)いて、その2人と英語で会話できることが楽しかったです。


大学

高校を卒業してから、進路をどうするか?ここでも「英語が好き。もっと英語を勉強したい」という気持ちが強く、関西外国語大学を受験することにしました。親には国公立大学の受験を勧められたリ、他にもいくつかの大学を受験してみたら?と言われたものの、どうしてもその時には関西外国語大学にしか行きたくなくて、1校だけを受験しました。今思えば、無謀なことをしたと思います。もし試験に落ちていたらどうしていたのだろう?

なんとか合格し、4年間、大学に通いました。これまでの英語学習と違ったのは、「英語を学ぶ」から「英語で学ぶ」ことです。アメリカ人の先生が英語で行う授業や、留学生と交流できるセンターがあるなど、大学生活を通してもっともっと英語に触れ、英語で勉強をしました。そして翻訳者になりたいという気持ちが高まっていきました。


オーストラリア留学

大学3年生のときには、交換留学でオーストラリアのパースに約1年間留学しました。この1年間の留学は単位として認められるので、1年間留学しても4年間で大学を卒業できるのが魅力でした。

オーストラリアに留学して、それまで自分の英語力にはある程度自信があったのに、その自信は打ち砕かれました。みんなの言っていることが全然分からない・・・・。留学先大学で留学生のお世話をしてくれる男性は、英語が母国語でない生徒によく接するからか、ゆっくりと分かりやすい英語で話してくれるのでなんとか理解できました。でも、大学生やお店の人の話していることはサッパリ分からず途方にくれました。

今まで何を勉強してきたんだろう?

今思えば、これまでずっとアメリカ英語ばかり聞いていたので、アクセントの違うオーストラリアの英語が分からないのは当たり前だったのかもしれません。当時は、オーストラリア人の話す英語よりも、アジア人の話す英語の方が聴き取りやすくて、台湾や香港、タイからの留学生とよく交流していました。もっと現地のオーストラリア人と交流するべきだったなと後悔。

留学中は、大学から徒歩5分のところにある寮に住んでいました。寮は敷地内に何軒か一戸建てのような家が並んでいて、その1戸建ての家に6人ほどの大学生が共同生活をします。寮は男性と女性ミックスまたは、女性だけの寮のどちらかを申請時に選ぶことができました。私は親の意見で、女性だけの寮を申し込みました。

私が住んでいた寮には、シンガポール2人、マレーシア、中国、インドからの留学生が5人いました。それぞれに個室があり、トイレやシャワー、キッチン、リビングルームなどを共同で使います。まだ英語での会話にあまり慣れていない頃に、扉を開けて家に入るのがとても緊張しました。みんなはよくリビングルームに集まっていて、自分の部屋に行くには、絶対にそこを通らないといけません。最初は挨拶するのも緊張したほどでした。

だんだんと英語で会話することにも、オーストラリア生活にも慣れた頃には、もう帰国の時です。オーストラリア留学については、また別の記事でもっと詳しく書く予定です。


帰国と就職活動

留学生活も終わり、日本に帰国すると、すでにまわりは就職活動を始めていて焦りました。オーストラリア留学は楽しかったし、英語が好きなことに変わりはないけど、卒業後にどうしたいのかが全然見えていませんでした。この時にも翻訳者になりたいという思いはありましたが、それをこれからの進路にどう結び付けていったら良いのか分からない。そんなモヤモヤがある中、就職活動を始めました。

遅れて就職活動をしていると、まわりはどんどん企業訪問したり、面接を受けたりして、内定をもらってくる。私はどんな会社で働きたいか、どんな仕事がしたいかハッキリと決まらないままで、活動しながらモヤモヤしていました。このままでは卒業後に何も仕事がない。と焦り始めたとき、面接を受けたのがホテル業界でした。安易な気持ちで、ホテルなら英語を使うだろうと思ったからです。


ホテルに就職

幸い、ホテルの試験に合格し、卒業後はホテルで働くことになりました。しかし、英語を使う場面はほとんどなく、通常業務をこなしていました。始めはホテル内のレストランでサービスをしていて、私は英語が使いたかったのに何をしているんだろうと思いました。その後、フロントに移動になり、たまに来る英語圏のお客様の接客や、フランスからの団体ツアー客の対応をしたりといった仕事が好きでした。

接客は好きだし、ホテルの仕事も好きでしたが、いろいろな事情があり、3年ほどで退職しました。その後は英語を使うことが全くない、様々な仕事を経験しながら、翻訳者になりたいという思いを募らせていきました。


妊娠と出産

翻訳者になりたいけど、東京や大阪など都会で働くのは嫌だったので、翻訳会社で働くということは考えず、今思えば自分で選択肢を狭めていました。その間に、妊娠したことで専業主婦になり、出産後はずっと家にいる状態。この時にまた翻訳者になりたい思いが強くなっていき、いろいろ情報を集めました。


通信講座

翻訳者と言っても、映像翻訳者、出版翻訳者、産業翻訳者など様々なジャンルがあります。私が小さい頃からなりたかったのは、映像翻訳者です。映画の字幕をつけたい!と思っていました。出産後、子育てと家事の合間に翻訳の勉強をしようと、アルクの通信講座で、映像翻訳講座を受講することに決めました。

字幕には文字制限があり、その制限の中で、どれだけ分かりやすく視聴者に内容を伝えることができるか。講座は非常に興味深いものでした。さて、講座をやり終えて次にどうすればよいか。また道が分かりませんでした。

通信講座ではなく、東京や大阪の学校に通って学ぶ生徒は、そこで実力が認められて、誰かの弟子だったり、翻訳会社に入社して経験を積むというのが一般的な翻訳者への道のようでした。ここでもはやり都会の学校にに通ったり、住んだりしたくない・・・。私は悩みました。


パソコン1つあれば

パソコンで情報集めをしている時に、ふと、「家でできる仕事」という求人に目が留まりました。「BBCの英語記事を日本語に翻訳する仕事」に早速応募してみることにしました。1文字いくら、1記事いくらというのはもう覚えていませんが、自給に換算すると、あまりよくない仕事でした。それでも、翻訳者としての経験を積むために、まずはこの仕事をやってみようと思いました。

その仕事を2年ほど続ける中で、映像翻訳よりも、こういった翻訳の仕事に私は向いているのではないかと思い始めました。もともと、本や記事を読むのが好きで、日本語でたくさん本を読んだり、英語でもビジネス書や自己啓発本を少しずつ読んでいました。

産業翻訳なら、翻訳の仕事はたくさんあるし、会社で働かなくても、家で仕事ができる。この点が魅力的に思えました。翻訳者になるという夢を叶えられる。しかも家で仕事ができる。

クラウドソーシング「ランサーズ」

ランサーズやUpworkというフリーランスの仕事紹介サイトに登録して、自分にできると思う仕事があれば、片っ端から応募しました。ここでも最初に頂けた仕事は、時給に換算すると安すぎるものが多かったです。でも翻訳者としての経験を積みたくて、いろんな仕事を引き受けました。翻訳だけでなく、ライティングの仕事もしました。


経験を積んで

ある程度仕事をこなして、経験を積んできた頃に、自分から仕事を探して応募しなくても、いろいろなクライアントから仕事の依頼が入ってくるようになりました。ランサーズでもUpworkでも、これまでにした仕事の数や、クライアントからの評価など、実績が見えるようになっています。評価が良く、実績のあるフリーランサーということで、依頼が増えたのだと思います。

今では、いつも安定して仕事をくれるクライアントがありながら、単発の仕事も引き受けています。翻訳者になるという小さい頃の夢をかなえて、家で仕事ができていることを幸せに思います。

まとめ

翻訳者になりたいという夢があるけど、どうやってその夢を叶えたら良いのか分からない人にとって、少しでもこの記事がお役に立てたなら幸いです。

翻訳者になるには、他の職業に比べて、明確に道が決まっているわけではありません。特に、翻訳会社などで勤務しない場合には、自分で道を切り開いていく必要があります。

コメント、質問などお待ちしています。


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